初めての作詞作曲。初心者からの歌づくりにチャレンジ。(1)ひらまりのうた、はじまり。

教えてもらったこと「歌はずっと残る財産」

音楽プロデューサーの宇童さんと出会い、初めて本格的な歌づくりにチャレンジすることになった私。

広告プランナーとして仕事で、CMソングの短い歌詞を作ったり、企業のイメージソングの歌詞の監修をしたりしたことはあるけど、オリジナルで1曲をフルに、ちゃんと作詞作曲してみるなんて初めての体験だ。

音楽はいつも身近にあり、そんなに上手じゃないけど歌うことが好きで、そんなに上手じゃないけど楽器を演奏することが好きで、いつか自分で作詞作曲してみたいとなんとなくぼんやり思っていた。

でも主旋律のメロディと歌詞は作れても、前奏や伴奏や全体のアレンジまで考えるのは見当もつかないので、思い浮かぶフレーズもそのうち消え、また浮かんでは消え……。

でも宇童さんとの出会いで気付いた。

自分でなんとか作詞作曲したら、プロフェッショナルな技術を持ったスペシャリストにバックアップ、編曲プロデュースしてもらうという手があったのか。言われてみればそうだよね。

(ただ編曲してもらう時、どんな人に頼むかは重要な選択だ。大事なのは、自分の歌に対する想いやイメージをどれだけ入念に聞いてもらえるか、それをカタチにしてくれる知識や技術、表現力を持った人かどうか、という点だと思う)

宇童さんとは、今回の編曲プロデュースをお願いするにあたって、いろいろやりとりしたのだけど、そのお話の中で、とても心が動いた言葉があった。
それは「歌は自分の死後もずっと未来に残る」ということ。

歌は未来に残せるもの。託せるもの。
――それは自分が生きた証を遺すということでもある。

私がこの世界からいなくなった時、私が作った歌を、家族や友達が私を思って聴いたり歌ったりしてくれるなら、それはとてもうれしいことだ。

そしてもっと時が流れて、私のことなど皆の記憶から消えてしまったとしても、どこかで誰かが私の歌を口ずさんでくれたら、どんなに素敵なことだろう。

そう考えただけで、なんだか鼻の奥がツンとして、目頭が熱くなった。

楽しんでがんばって、いい曲を作ろう、と決意を新たにする私。
シンガーソングライターへの道、スタートだ。

歌の世界観を作るのはむずかしいね。

私は初めての作詞作曲に取りかかった。

プロデューサーの宇童さんは「癒し」「自然」といった方向性の音楽作りに力を入れていらして、でも「ひらまりさんの作りたい曲を作ってくださいね」と言ってくださったけど、私も私なりの「癒し」や「自然」をテーマとした歌にしよう、と思った。

なぜかこのところ広告の仕事でも(世の中がそういったものに対して意識が高くなっていることもあるのか)自然や癒しが重要なキーワードになるプロジェクトが重なっていたので、それらの言葉に反応したということもある。

さらにそこに私のライフワーク的なテーマの「想像力~未来を夢見ること」を足して、自然、癒し、想像力と、3つの要素が含まれる歌にしたいと考えた。初心者も初心者、何も知らない素人のくせに、なんと自らハードルを上げるスタイル。

どんな歌にしようか、考えに考えてさんざん迷った結果、歌の舞台は私の故郷にすることにした。

私は飛騨高山の緑豊かな町で育った。時折テレビにも出る小京都の町並みからそんなに離れていないけど、私の家は山に囲まれた田園風景が広がる、のどかな田舎町にある。
すでに回り全部が自然なので、自然はとりたてて取り上げるようなものではなく、私はその中に包まれて自由にのびのびと育った。

これは私の実家の近くの山道。昔と変わらない。

その原風景を舞台に、子どもの頃感じていた日々のときめきや発見、未来に対する期待、想像力が駆け巡る感覚、といったような、ふわふわとしたカタチのないものを歌の中で表現したい……と思った。

こうやって書くと、スラスラと世界観や歌のイメージが出来たかのようだけど、この歌のテーマというか、方向性を決めるまでにはけっこう悩んで悩んで紆余曲折、3週間くらいかかった。でも素人ながら思うに、作詞作曲ではきっと、この曲のコンセプト作りが最も難しく、重要な部分なんじゃないかと思う。コアな部分というか。

私の人生は行き当たりばったりだけど、仕事の時はコンセプトが決まらないと動けないので、余計にそう思ったのかもしれない。

さて、その後はいよいよ実際の曲作り。

小さなキーボードをポロポロと弾きながら、手探り手探りフレーズに合う言葉を探して、言葉と音を探っていく。音に合わせて言葉を選び直す。言葉→メロディ→言葉→メロディ→言葉の繰り返し。

それは宝探しのようで、パズルのようで、私は想像以上に夢中になった。歌、曲作りは予想以上に面白い。
そして曲のイメージが出来てから1週間後、最初から数えると約1ヶ月ちょっとくらいで、私の初めての歌は完成した。

そして出来上がった歌の歌詞がこちら↓

初めての作詞「ひらまりのうた」歌詞

水田に映る山並みは そよ風にゆられ 
ちぎれ雲 ひとつ のんびり 泳いでゆく

友達と笑い転げて 坂道を駆けて
ポケットにはすべすべの石と ビー玉と好奇心

世界は胸躍るような 不思議に満ちていた
記憶は彼方へと 遠く なるけれど ah ah

過ぎ去った時はすべて これまでの 軌跡
この先もずっと ゆっくり 続いてゆく
揺れながら 信じながら 歩いてゆこう
胸躍るような 未来が きっと待っている

神社へと続く山道は 緑のトンネル
穏やかに 落ちる木漏れ日 笑っている

大きなケヤキよじ登り 枝の上に立ち
眺めた町の向こうに想う 果てしない ストーリー

世界は胸躍るような 希望に満ちていた
記憶は彼方へと 遠く なるけれど ah ah

過ぎ去った時はすべて これまでの 軌跡
この先もずっと ゆっくり 続いてゆく
揺れながら 信じながら 歩いてゆこう
胸躍るような 希望が きっと待っている

出来た歌をiPhoneで録音して送りました。

私が課題として決めた3つのテーマのうち、「自然」と「想像力」は歌詞のメッセージに織り込んだつもりなので、「癒し」というテーマは、メロディやリズムで出せたらいいな、と思った。(そして後は宇童さんのアレンジにおまかせしようと考えた。バックにスペシャリストが付いていると、自分の出来る範囲だけでなく、表現したいことを自由に考えられるのも素敵)

上の歌詞の内容ならしっとりした感じのほうがいいかな、と思ったりもしたけど、なんとなく、しっとりは私らしくないような気がした。

それに「癒し」とは、聴いていて開放的な気持ちになったり、和んだり、ちょっと元気が出たりする、そういう表現もあるんじゃないかと思い、私の好きなレゲエっぽい雰囲気をイメージして試行錯誤しながら作曲をした。

こうしてようやく、なんとか、主旋律と歌詞が出来上がった。

さっそくプロデューサーの宇童さんに私の作った曲を伝えなくてはならない。歌詞はメールすればいいけど、歌はどうやってお伝えしようかいろいろ迷う私。でも経緯を知っている周囲が「宇童さんは本物のプロフェッショナルなんだから、歌って送れば、それでもう分かってくれるよ」と言うので、それもそうだねと思い、テンポだけ取りながら、iPhoneのボイスメモに向かってアカペラで歌を歌い、録音した。

そして宇童さんに「レゲエのようなイメージで作りました」とメッセージを添え、メールで歌詞と歌のデータを送信。

作ったばかりの歌だから、耳慣れなくて声も上ずってヘロヘロだけど、きっとプロフェッショナル宇童さんは受け取ってくれる……と思い、ドキドキハラハラしながら、メールの送信ボタンを押す。

さて音楽プロデューサー宇童さんの反応は…!?

この続きはまた次回。

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